野球狂の詩 -Zanzibar-

 本年の日本シリーズはオリックスバッファローズが掴み取って、2022年のプロ野球シーズンは終わりを迎えました。皆様、今年のプロ野球はどうでしたか?応援しているチームの成績はどうでしたか?私の贔屓のチームは、開幕前に指揮官が逆噴射してしまって、開幕から悪夢の9連敗という有様で、ちょっと残念な結果でした。しかしシーズン終盤には見せ場も作ってくれて、選手たちには感謝感謝です。

 今シーズンから観客数の上限を設けずにペナントレースが開催されました。大観衆の地鳴りのような歓声はいいものですね。「スタジアムはこうじゃなきゃね」とつくづく思います。残念ながらまだ声を出しての声援は禁じられていて、応援団の人達も「心の中で声援を」というプラカードを掲げて、一生懸命周知を呼びかけていましたね。某球場のライトスタンドに棲息している野蛮な部族は、どうしても声無し応援を守れずに、善良な野球ファン達の顰蹙を買っていました。しかし皆さん、彼等も野球を愛する仲間であって、只我慢が出来ない残念な人達なだけなので、少しくらいは大目にみてくださいね。きっと目に余る不届き者は、黄色と黒、二色のジャージを着用した屈強なお兄さんが、スタンドの裏に連れて行って、きっちりシメて・・もとい、優しく言い聞かせて下さっているはずですから。(嘘です。ごめんなさい)

 バッファローズの宮内オーナーは、今年で勇退する事を決めていたそうです。オーナー最後の年にまるで芝居の様な幕切れで、胴上げされながらとても嬉しそうでしたよね。私も宮内さんの嬉しそうなお顔を見て、本当に良かったなと思いました。思い起こせば18年前、宮内さんは球界再編という大騒動のまさに中心人物でした。2004年、球団経営がニッチもサッチも行かなくなった近鉄バッファローズに救いの手を差し伸べたのが宮内さんでした。そしてその年の6月、シーズン中にも関わらず、オリックスブルーウエーブと近鉄バッファローズの合併が発表されたことが騒ぎの始まりでした。この問題にダイエーホークスを始めとする深刻な経営難に陥っていた他のパリーグの球団の合併話まで加わって、騒ぎに火がついて、おまけに巨人の渡邊オーナーが、1リーグ制への移行というチャチャを入れた事でボヤに火が回ってしまい、選手会労組を巻き込んだ大騒動になってしまいました。終いにはホリエモン(堀江貴文氏)の新球団設立話まで飛び込んできて、おまけに選手会労組が史上初のストライキによるゲーム中止までやらかしてしまって、この騒動は大火災になってしまいました。結局この件は、楽天の三木谷社長の東北楽天ゴールデンイーグルスが新たにパリーグに加わる事で、一件落着という事になりました。ここに至る紆余曲折に果たしたナベツネオーナーの役割は大きかったですよね。当時のプロ野球労組委員長は、ヤクルトスワローズの”のび太”こと古田敦也さんでした。のび太委員長が、交渉を球団社長ではなく直接オーナーとしたいという希望をマスコミに語って、それを聞いたナベツネ氏が「無礼なことを言うな。たかが選手が」と言わなくてもいい事を言ってしまった事で、世間の流れは一挙に選手会側に流れました。プロ野球史上初のストライキが決行され、全チーム土日の2試合が中止となっても、世間の非難は選手側には向かわずに悪いのは全てオーナー側という雰囲気になってしまい、ナベツネを始めとする頑固なオーナー連中も選手会の要望を呑まざるを得ない事になったのでした。

 今にして思えば、この様な形で収まった事は、今のNPBにとっても大変良かったと思います。パリーグは個性豊かなチームが揃っていて、今やセリーグに負けない人気を獲得しています。バッファローズはパリーグ連覇を果たして、今年は日本シリーズまで手中に収めました。イーグルスも亡き星野監督のもとで、ペナントレース制覇そして日本シリーズも獲得しています。観客動員数では若干苦労をしていますが、それぞれ地に足をつけたしっかりとした球団経営をしていますし、ファンの人達も、我がチームを心から愛している事がよくわかります。野球の楽しみの一つは、何と言っても自分が心の底から応援できるチームを持つ事ですよね。そしてそのチームの勝ち負けに一喜一憂しながら、我々の選手が素晴らしいプレーをすれば心の底から称えて、逆につまらないプレーをしたら、「おんどりゃー!何さらしとんじゃーボケ!」などとは決して言わず「次はガンバロー」と優しく応援するのが野球の醍醐味ですよね。どのチームを贔屓にするかは各人全くの自由なのですが、地元のチームを応援するのは格別ですよね。そんな事を考えていたら、NPBのチームがない地域の事を考えてしまいました。四国と北信越地方です。特に四国は野球熱が盛んな地域で、数々の名選手を排出しています。そこで、私は毎度のことですがくだらない想像をしてしまいました。四国の人たちには大きなお世話なのですが、以下は全てキ○○イの戯言と思ってください。お願い致します。

 発端は三菱グループの影の実力者のほんの思いつきの一言からだった。「四国にプロ野球球団がいっちょんないちゅうのもおかしなもんじゃのう。のう?おんしらもそぎゃん思わんか?弥太郎先生も草葉の陰で嘆いていらっしゃるぜよ」6月の第2金曜日、三菱グループ金曜会でNPBの球団を四国に誘致という議題が上がったのは突然であった。小一時間後に三菱グループが総力を上げて、政財界、裏社会関わりなくあらゆるソースを用いてNPB四国誘致を働きかけて行く事が、皇居を見下ろす三菱商事ビル21階の会議室で秘密裏のうちに決定された。NPB斎藤コミッショナーから12球団各オーナーに極秘のオーナー会議の開催が通知されたのは9月もそろそろ終わりに近づいてきた頃の事であった。巨人山口オーナー:「コミッショナー、一体これはどういう事なのですか?四国にプロ球団なんて、そんな事できるはずないじゃあないですか」 斎藤CM:「これはやんごとない筋からの話で、絶対に断れないのです。日本全国にプロ野球球団という事で、皆さんの中で1球団、四国に移転してもらいます。先方は高知を望んでいましたが、交渉の末愛媛松山という事になりました。松山なら正岡子規ゆかりの野球発祥の土地なのでぴったりなのです。坊っちゃんスタジアムという素晴らしい球場もありますから」 日本ハム畑オーナー:「それならうちとソフトバンクさん、楽天さんと広島さん中日さんも除外ですよね。何せ私たちは地域に根ざしている球団ですから」阪神藤原オーナー:「何をアホなことを言ってるんや。うちかて関西の人達の心をしっかり捕まえてまっせ!それに日ハムさんは創業の大社さんが徳島出身で、徳島愛がごっつい人やったさかい、ハムさんが四国に行ったらええんや」畑オーナー:「馬鹿なことを言ってもらったら困りますな阪神さん。あなたの所は毎年高校野球で甲子園球場が使えなくて、死のロードだの何だのとブーコラ文句ばっかり垂れているじゃあないですか。ここはキッパリ甲子園は高校球児の聖地という事にして、とっとと四国に行ったらいいんじゃないですか?」藤原オーナー:「何やとう?ワレ、今バカちゅうたな!関西人にバカは禁句やど!しばくぞこのガキ!」広島松田オーナー:「まあまあ。藤原さんもそんなに興奮しないで。いい歳してみっともないですよ」藤原オーナー:「ワレ、何ぬかしとんネン!爺さんの七光でオーナー面している半人前の3代目のくせに偉そうにすんなやボケが!だあっとれアホ!」 松田オーナー:「オンドレ何を眠たい事をぬかしとるんじゃ、ド外道が!オドレのドグサレなタマとったろうか!」不毛な言い争いは延々と続いた。折衷案を出したのは横浜DNAの南場オーナーだった。「まあまあ皆さん、そんなに興奮しないでくださいな。紳士の皆様が興奮なさるのはみっともないですわよ。ここはやはり1つの県に1球団という縛りでいかがですか?」 ソフトバンク孫オーナー:「それがよか。それなら四国行きは巨人さんとヤクルトさん、そして阪神さんとオリックスさんでよかですね?」オリックス宮内オーナー:「待ってください。うちは大阪。阪神さんは西宮で兵庫県ですから、私達も適応外ですね」中日大島オーナー:「そらそうだわ。巨人さんかヤクルトさんで決まりだわ!これで万事言う事なしだがね。めでたしめでたしだわ」山口オーナー:「何がめでたしだ!そんな事は渡邊主筆が絶対にお許しにならない。皆さん、栄光の巨人軍を何だと思っているのですか。巨人軍は永久に不滅なのですよ。球界の盟主なのですよ。第一うちは、三井と一緒に新しいドームシティを建設する予定なんですよ!四国にはは神宮球場を間借りしているヤクルトさんでいいんじゃないですか。どうせ神宮も秩父宮ラグビー場跡地に移転するんだし、神宮球場は明治神宮の持ち物ですよ。そもそも神宮球場は大学野球の聖地ですからね」ヤクルト根岸オーナー:「山口さん、あんた何を寝ぼけた事を言ってやがるんだ!永久に仏滅で、落ち目の三度笠のくせに!うちは2年連続セリーグを制しているんだ。それにうちの応援歌は東京音頭だぜ。四国に行って阿波踊りでもしろって言いやがるのか?それに東京ドームの株も三井不動産が8割で、てめえの所はたったの20%ぽっちじゃねえか。読売もすっかり部数が落ちてきてヤキがまわっちまって、ドームシティもどうなるもんだかわかんねえぜ。ナベツネの爺さんだってすっかりボケちまってるから、きっと何が何だかわかりゃしねえよ!」山口オーナー「何だとう!うちの主筆を愚弄するのは許さんぞ!」・・議論は一向に結論を得そうになく、ただひたすら時間だけが過ぎていくのだった・・・。

 長々とくだらない寸劇にお付き合い頂き、ありがとうございます。全て私の妄想です。私の脳の血管は動脈硬化が進んで大分脆くなっているのです。三菱グループの皆様、怪しげな陰謀論みたいな話をでっち上げて、大変申し訳ございませんでした。12球団のオーナーの皆様、そして各チームのファンの皆様心からお詫び申し上げます。プロ野球球団は社会の公器という事で、何とか許してくださいませんでしょうか?しかし2004年の球団再編騒ぎの時も、オーナー会議の中では、こんな汚い言葉遣いはしていなかったとは思いますが、似た様な事を言い合っていた様な気がしますよね。特に当時は、巨人ナベツネ、西武堤氏、阪神九万氏、ダイエー中内氏など海千山千の魑魅魍魎が揃っていましたからね。宮内さんはその中で、きっと純粋に愛する野球の為と思ってあの合併劇を言い出したのだと思います。結果的にこの件で、閉鎖的だったプロ野球の世界が変わるきっかけとなったと思います。四国の球団については私にはアイディアがあります。私は、タイガースが四国松山を第二フランチャイズにすればいいと、常々思っていたのです。例年タイガースは、選抜高校野球があるために、甲子園で開幕戦を行う事が出来ず、大阪ドームで開幕を迎えます。松山坊っちゃんスタジアムで開幕を行う事にして、JRや松山のホテル業界とタイアップをしたら、関西から大挙してトラキチ達が駆けつけること間違いなしです。JTBやHISなどの旅行会社を巻き込んで魅力ある旅行プランを作って、能天気な関西のTV局が大々的にアピールすれば大成功間違いなしです。夏の選手権期間も同様に、死のロード中のホームゲームは全て四国各県で開催すればいいのです。藤原オーナー、先程の寸劇ではとんでもないキャラクターに仕立て上げてしまい大変失礼を致しました。オーナーが洗練された素晴らしい人格者である事は周知の通りです。四国第2フランチャイズの件、何卒ご高配の程よろしくお願い申し上げます。

 コロナウイルス蔓延後の世界は、暗い話題が多くて、何だか殺伐としてますよね。そんな中で私達は、野球を変わらず楽しむ事が出来て、本当にありがたい事だと感謝しています。散々四国にNPBをと煽ってしまいましたが、四国には四国アイランドリーグという素晴らしい独立リーグがあります。愛媛にも愛媛マンダリンパイレーツという素晴らしいチームがあります。当初は球団経営にご苦労された様ですが、近年は多数の地元企業のスポンサーも獲得して経営も安定してきている様です。今年はドラフトで育成枠ですが上甲選手が1巡目で横浜ベイに指名されました。世界を見渡すと、MLBではコーヘイ・オータニ(何せ世界の大谷ですから)が今シーズンも素晴らしい活躍をしてくれましたね。彼のチームがポンコツ過ぎてちょっと残念ですが、来シーズンもきっと目を見張るような活躍をしてくれると思います。セイヤ・スズキ(彼もワールドクラスになりましたよね)も1年目にしてはまずまずでしたね。フィールド・オブ・ドリームの球場でのプレーには痺れてしまいました。おそらく私達のスタジアムでも来シーズンは大きな声で応援歌を歌って、選手に声援を届けることが出来る様になるでしょう。何だか世界が悪い方向に向かっている様な今日この頃ですが、このまま野球という素晴らしいスポーツを変わらず楽しめる毎日である事を、私は心から願っているのです。

Zanzibar:他のどんなチームより我がチームが1番。気の置けない仲間と一杯やるのなら、スタジアムでもどこでも素晴らしい時間。野球という素敵なスポーツが、これからも楽しめるそんな世界である様に願って・・。

Zanzibarは1978年に発売されたBilly Joelの6枚目のアルバム、52nd Street(邦題:ニューヨーク52番街)の4曲目に収録された曲です。このアルバムは大変有名で、最も人気がある作品なので、皆さんもご存知の事と思います。この曲の中でビリーは、「ピート・ローズがどんなに試合で活躍しても、新聞の1面はいつだってヤンキースだぜ」なんて言って、ヤンキース愛を歌っています。後にローズの野球賭博関与が問題になった時に、日本のライブで「ヤツは絶対殿堂入りは無理だけど・・」とこの曲の詩を変えて歌っていた事が話題になりましたよね。この曲のタイトル、ザンジバルはアフリカ、タンザニアにある有名なリゾート地の島々の名前なのだそうです。この曲ではビリーお気に入りのBarの名前として登場しています。この曲からは、ザンジバルでテレビを見ながら友達やウエートレスさんと野球やボクシングの話を語らいながら、一杯やって楽しい時間を過ごしているという、とてもいい雰囲気が感じられます。私は一時期、出張担当者として日本海側のある街で、数年間ホテル生活をしていた事があります。その街で行きつけの酒場が出来て、その店で出会った人達の事をこの曲の雰囲気で思い出しました。その店では某球団のファンが集まって、テレビで試合を見ながら大いに野球を楽しんでいたものでした。某ローカルTV局は、何があっても必ず某球団の試合が終了するまで放送するので、試合が長引いたり延長戦になった時には、店のママさんが大いに不機嫌になって、常連のボスのドクターがワインを開けてご機嫌をとっていた事が懐かしく思い出されます。思い出に浸りながら私は、スタジアムで観る野球も酒場でテレビで見る野球もそして自宅で見る野球も、いずれも友達や仲間そして家族と一緒に楽しむ事が肝心で、この大事な事を忘れず生きて行きたいものだと心の底から感じているのでした。

このような駄文を最後まで読んでくださってありがとうございます。

皆様にとって明日が今日より良い日になりますように。

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