放蕩息子の帰還 -God Save The Queen-
女王陛下が崩御されました。クイーン・エリザベス2世、享年96歳。グレートブリテン及び北アイルランド連合王国、イギリス連邦王国14カ国の君主であると共に、コモンウエルスと呼ばれる連邦諸国の象徴として、70年間の本当に長きにわたる治世でした。イギリス全土、そして世界中が大きな悲しみに包まれる中で、女王陛下の国葬が執り行われました。日本でも、多くのマスコミが取り上げていて、NHKは葬儀を生放送していましたよね。ご覧になられていた方も多かったのではないでしょうか。もちろん私はこういった大きなイベントは大好きなので、テレビに齧り付いていましたよ。
イギリスと日本は、どちらも古い歴史を持つ王室・皇室を持っているという点で、多くの共通点があります。そういった意味で、エリザベス女王は、日本でも、多くの人達から大変親しまれていた御方でしたね。イギリスの王室は、イギリス国民から大変な人気があって、国民にとって身近な存在ですが、それ故に定期的に大きなスキャンダルが起きてしまって、国民に様々な話題を提供して来ましたよね。チャールズ皇太子の不倫とダイアナ妃との離婚、そしてダイアナ妃の悲劇的な事故死。最近ではハリー(ヘンリー)王子の皇室離脱がありましたね。その度に国中で大騒ぎになっていたのですが、女王はどんな時でも、穏やかに、そして毅然として、事態を解決に導いてくださいました。そんな女王陛下の事をイギリス国民は、誰もが大好きで、そして信頼していたのだと思います。
エリザベス女王が崩御された際の様々な手順や行事については、1960年代に既に決められていたそうです。それは「ロンドン橋作戦」と呼ばれていて、女王崩御の際は、王室から英首相に5分以内に「London bridge is down.」という連絡が入り、その瞬間から事前に決められた手順どうりに粛々と儀式が遂行されていくことになっていたのだそうです。9月11日にスコットランド、バラモラル城で女王が崩御された後に、陛下の亡骸はロイヤルスタンダードと呼ばれる王室旗に覆われた棺でエディンバラ市内のセント・ジャイルズ大聖堂に運ばれて、その場で1回目の礼拝が行われました。棺はその後ロンドンに運ばれて、ウエストミンスター・ホールに安置されました。この計画は、様々な場所で、国民が女王陛下にお別れをする機会を持つ様に配慮されており、実際に19日の国葬当日まで、驚く程多くの国民が直接弔いをしていましたね。私はその間、女王陛下のご遺体はどうなっていたのだろうか?ご遺体は傷んでいないのだろうか?と密かに心配していました。多くの人が同じ疑問を持ったことと思いますが、英国王室からは、何のアナウンスもなかった様です。識者が言うには、あの棺は抗菌処理が施されたオーク製の特注品で、内部は外気に晒されない様に鉛張りになっているそうです。その為に400kg近い重量があるのだそうです。その重さ故に、通常は棺を運ぶ衛兵は6名であるのが普通なのですが、女王の棺は8名の精悍な近衛衛兵が威風堂々と運んでいましたね。
国葬当日、女王陛下の棺は、ウエストミンスターホールから葬儀が執り行われるウエストミンスター寺院まで、静々と運ばれていきました。棺の後ろには、チャールズ国王を初め、ロイヤルファミリーの方々が付き添って、粛々と行進をされていましたね。英国のフォーマルなドレスコードでは、軍務に就いた王室メンバーはこういった儀式の時には軍服を着用することになっているのだそうです。しかし数年前に王室を離脱したハリー王子は軍服を着る事が許されず、モーニングを着用して歩いていましたね。それは、キリリと軍服を着用して誇らしげに歩いているウイリアム王子とは対照的で、様々な経緯があるとしても、なんだか可哀想でしたね。女王陛下は、腕白で跳ねっ返りのハリー王子を、殊の外可愛がっていたそうです。なので、この様な為され方に心を痛めていた筈で、きっとなんとかしてあげたいと思っていた事と思います。私はこの様子を見ていて、甚だ不敬な事なのですが、またまたよからぬ妄想をしてしまいました。それを書いてしまう事は全イギリス国民及び、世界中のイギリス王室フアンを敵に回す事になると思うのですが、あえてこの誰も見ていないこのブログに書いてしまいます。ピンと張り詰めた、厳粛な雰囲気の中で女王陛下の国葬は滞り無く行われて、女王陛下の棺はウインザー城まで運ばれていきました。ウインザー城の礼拝堂で最後の礼拝が行われた後に、ロイヤルファミリーが棺を囲んで最後のお別れをしているというシチュエーションです。
ロイヤルファミリーが、ようやく緊張から解放されてくつろいだ雰囲気になった時に、空気を読めないハリー王子が、言わなくてもいい事を言ってしまった。「あーあ。兄貴はいいよなあ。キリッと軍服を着て、これでまた好感度が上がっちまうよなあ。そこにいくと俺なんか、モーニングだもんなあ。差別だよこれは。」それを聞いたウイリアム王子は、ハリーに向かって厳しく嗜めた。「おいハリー、お前、おばあちゃまの前で何てことを言うんだ!恥ずかしくないのか?元はと言えば、お前が我儘し放題で、あんな性悪と結婚して問題ばかり起こすからだろうが!お前、王室の暴露本を出すらしいな!そんなことは絶対に許さないからな!」ハリー王子は、溜まりに溜まった鬱憤が爆発してしまい、ウイリアム王子の胸ぐらを掴んで怒鳴った。「何だとう?お前、俺の奥さんを性悪と言ったな!お前らこそお高く止まりやがって、何様のつもりで俺に説教しやがるんだ!暴露本は絶対に出すからな!世界中がびっくりするぜい。」周囲がオロオロとする中、突然安置されていた棺がグラグラと揺れ出して、もの凄い爆発音とともに中からゾンビ化した女王が飛び出してきた。そして、漫画太郎描くところの怪人ばばあの顔でウイリアム王子を殴りつけた。「こらあ!貴様んらなんばごちゃごちゃ言っとるとね。黙って聞いてりゃ、言いたい放題だね。ウイリアム、あんたは兄貴のくせに、弟にもっと優しくできんとね?ハリーは寂しかとバイ。わからんとね!こん馬鹿タレは!」「いいぞいいぞ。おばあちゃま、兄貴にもっと言ってやってくださいよ。」囃し立てるハリー王子に向かって、女王の鉄拳が炸裂した。「黙りんしゃい!こん馬鹿ちんが!元はと言えばあんたが一番悪かとバイ。みんな反対しとるとに、あんなアバズレと結婚しくさって。あんたは、誰のおかげで一人前の大人になれたのか全然わかっとらんとバイ。あの性悪女が文句を垂れても、それをちゃんと収めるのがあんたの役目だろうが!それをあの厚かましい女と一緒になって私らの悪口を言いたい放題で、よりにもよって暴露本とは。一体何様のつもりだい?この恩知らずが!」そう言って、女王は強烈な一撃をもう一発ハリーにお見舞いした。そして、燃えるような怒りの目で睨みつけているメーガン妃に向かって言い放った。「おやまあ、メーガン、随分とお怒りの様子だねえ。だけど本来ならあんたみたいな性根の腐った女は、王室は用無しなんだよ。だけどハリーが泣いて頼むから、あたしゃ渋々結婚を許してやったんだ。わかってるのかい?本来ならあんたにもキツーい一発をお見舞いするところなんだけど、ハリーに免じて許してやるよ。だけど、私らの事で、これ以上ある事ない事をピーチク囀りやがったら、あたしゃ、必ずあんたにキツーい一発を喰らわしてやるけんね!よーく覚えとくんだよ!」そして、うって変わった優しい顔でにっこりと笑いながら、国王に向かって言った。「いいかいチャールズ。ハリーが考えを改めて、きちんと謝ってきたら、ちゃんと許してやるんだよ。あたしゃ、孫がいがみ合っているのを見るのはまっぴら御免なんだよ。」そして、ガタガタ震えているウイリアム王子とハリー王子に向かってこう言った。「あんたたち、この世にたった二人の兄弟なんだから、ちゃんと仲良くするんだよ。またいざこざを起こす様なら、あたしゃ、何度でもやって来るからね!」そう言い残して女王のゾンビは壊れた棺に戻っていった。(漫画太郎さんのイラストは、漫画太郎*おばあさんで、是非Googleで検索してみてください。)
謹んで、全イギリス国民の皆様にお詫びを申し上げます。私は頭がおかしいので、こんな風にしか自分の願望を表現できないのです。しかし、ここに書いている小咄についてはその表現はともかく、多くの皆様に私の言いたい事についてご理解いただけるものと信じています。私は、ハリー王子とメーガン妃が、王室の窮屈な日常に耐えきれずに離脱を望まれたのは仕方がない事だと思っています。しかし、このバカップルが、本当か嘘かわからないような事を一方的に発言する事は、全くもって破廉恥で卑怯な行為だと思いますね。ましてやそれをメディアに高額で売りつけるなんて、恩知らずと言われても仕方がないと思いますよ。王室の透明性なんてわかった様な事を言う人がいますが、そんな事はクソッタレだと思いますね。私は保守的な人間なので、1000年以上の時を綿々と紡いできた、この歴史と伝統を持った王室について、そこに関わる人達は、可能な限りその存在を守るための行動、振る舞いを行わなければならないと思っているのです。嫁同士の不仲や言い争い、兄弟のちょっとしたいざこざなどは、外部に言うべき事ではないと思うのです。そしてそれはきっと隠蔽なんてものには当たらないと思いますよ。その事が、ヘンリーの青二歳とメーガンの性悪は全くわかっていないと思いますね。
女王陛下は機智と頓智に富んだご性格で、ユーモアのセンス溢れる御方であったそうです。なので、甚だ不敬なこのブログについても、きっとお許しになって下さる事と信じています。イギリスはこの誰からも親しまれていた偉大なQueenという要石を失って、大きく変わっていく事が予想されています。旧植民地であったコモンウエルス諸国のイギリス離れは、既に顕著だと言われています。連邦王国の国々も連邦からの離脱が模索されていて、女王の崩御によってその動きは加速する事が予想されています。それどころか足元のUnited Kingdamの4地域でさえも、独立の機運は高まっていて、実際にスコットランドでは来年に、その是非を問う住民投票が予定されているそうです。かつて7つの海を支配した栄光の大英帝国も、大きくその姿を変えていきそうです。新国王はこの動きに対して抗っていくのでしょうか?それとも歴史の流れにその身を委ねて、為すがまま、まさしくLet it be.で王室の歩みを営んでいくのでしょうか?同じく古い歴史がある皇室という存在を持っている一日本人として、その成り行きについては注視していきたいと思うと同時に、我が国の成り行きについても思いを馳せてしまいました。
God Save The Queen:女王の御世は全ての人々の祝福のもとで終わりを迎えた。新しい時代を迎えた人々は、どこに向かって進んでいくのだろうか・・・。
God Save The Queenは、言うまでもなくイギリス国家である女王陛下万歳ですが、今回取り上げたのは、パンクロックのパイオニアであるSex Pistolsの同名の曲です。この曲は、1977年に発売されたSex Pistolsの唯一のスタジオアルバム”Never Mind Bollox"(邦題は勝手にしやがれ)に収録されています。この曲は、王室に対して不敬であると言う理由で一度発売中止になっていて、BBCでも放送禁止となっていた曰く付きの曲です。世間からは王室批判の曲だと曲解されていますが、ボーカルのジョニー・ロットンによれば、むしろ王室の人達の制約がありすぎる人生に同情しているのだそうです。そしてこの曲は、一方的に服従を求めてくる人達に対する自分の考えの表明であるという発言をしています。「絆や忠誠心を求めるのならば、その根拠を示すのが筋ってもんだ」などと言い放っています。「今いる状況を変えなけりゃ未来はないんだから、この曲はポジティブなステートメントだよな!」なんて事まで嘯いています。そんな姿が、自暴自棄になっている様なハリー&メーガンの姿とつながると同時に、エリザベス女王という大きな柱を失った、王室と大英帝国がこれからどのように変わっていくのかという問題提起がされているように感じてしまったのです。
放蕩息子の帰還は、皆様ご存知のレンブラントの筆による名画です。この絵は、新約聖書でイエスキリストが語ったという、有名な寓話を題材としています。簡単にご説明させて頂きます。父親から財産を分け与えられた兄弟の話です。弟はその財産を持って家を出て、放蕩の限りを尽くして無一文になってしまいました。ボロボロになって帰ってきた弟を父は優しく迎え入れました。兄は、自分は家に残って父親に尽くしてきたのに、好き放題生きてきた弟をなんで優しく迎え入れるんだと思って納得がいきません。父親は兄に優しく言いました。お前は私の元で色々と苦労してくれた。その代わり私の愛は今まで全てお前に与えてきた。私のものは全てお前のものなんだよと。この話は、どこかの誰かさん達の様ですよね。野次馬根性満載の私は、新生英国王室を、あのバカップルがどの様に振り回していくのか?その事に、イギリス国民はどの様に反応していくのか?出来が良い兄貴とやんちゃな弟の和解はあるのか?稀代の悪妻メーガンが、今後心を入れ替える事があるのか?こんな下世話な事を興味深々で見守っていこうと思っているのです。
このような駄文を最後まで読んでくださってありがとうございます。
皆様にとって明日が今日より良い日となりますように。