夢のカジノ-Shape Of My Heart-
和歌山県のIR(統合型リゾート)が頓挫してしまいました。県議会で国に認可を求める決議が否決となり、仁坂知事は苦虫を噛み潰したようなお顔をされていましたね。和歌山県は、本年、ENEOSが撤退することが決定されており、雇用や税収の大きな柱を失ってIRに活路を求めていたので、知事の無念はさぞかしの事とお察し申し上げます。IRについては、2018年にIR整備法(カジノ法案などと言われていましたね)が国会で可決され、国策としてIRを正式に認めて、整備や規制についての規定が為されました。当初は日本全国各地の自治体がこぞってIRの誘致に手を挙げていましたが、様々な紆余曲折を経て、最終的には候補地として横浜、大阪、和歌山、長崎が残りました。
横浜については、横浜市長選でIRの誘致が争点となって、反IRを訴えた現市長が当選となり、撤退することが決定されました。ハマのドンなる人物がIRに強烈に反対して、「わしの目の黒いうちには絶対に横浜にカジノは作らせんぞ!」などと怪気炎を上げていましたね。ハマのドンは、なんでも横浜の港湾関係の仕事の元締めをしている人物だそうで、横浜の発展に大変貢献して来た、そして地元政財界に絶大なる影響力を有する御仁だそうです。ドンがなぜそれほどIR、特にカジノを目の敵にするかというと、自分の従業員である港湾労働者たちが、ギャンブルで身を持ち崩してきたのを散々目にして来たからだそうです。そして「横浜にはカジノはそぐわない!」と言い放って、カジノに反対だったら誰でも構わず応援して、また、どんな手段を使ってもカジノは阻止するのだそうです。一見ごもっともなご意見だと思います。IRに反対する人たちの多くはギャンブル依存症を主要な反対の理由に上げています。しかしそこには大きな矛盾も含まれています。日本では、競馬、競輪、競艇、オートレースがお上によって認められて、堂々と賭場を開帳しています。そして特殊景品遊戯場としてのパチンコ屋が、日々ギャンブル依存症患者を大量生産しています。ハマのドンが博打を憎んでいるのなら、「わしの目が黒いうちは横浜でパチンコ屋は絶対に許さん!」と言って、あらゆる手段を使ってパチンコ屋撲滅をすればいいのです。そして、野毛にあるWINS(場外馬券場)についても、自信満々のご自分の影響力と権力を行使して、廃止にしてしまえばいいのです。それをしないでカジノだけ、「わしの目の黒いうちには」なんて言っているのは、何か魂胆があるのでは?としか思えません。私は、こんな怪しい老人が表に出てきて、「わしの目が黒いうちは」なんて堂々と言っている街に自分が住んでいなくて、つくづく良かったと思いますね。
ギャンブルは、依存症に苦しんでいる人や、バクチで人生を棒に振ってしまった人、そしてそういった心が弱い人たちの周りの人たちにとって、憎むべき悪魔のような存在でしょう。しかし私は、社会の必要悪としてのギャンブルの存在は、仕方がない事だと思っています。何せ賭博は、人類の文明が始まった時から途切れることなく続いてきた人間の悪癖です。長い付き合いで腐れ縁の悪い友達なのです。お上が禁止にしたとしても、バクチに取り憑かれてしまった人達は、間違いなく地下に潜って裏稼業の人達を喜ばせることになってしまうし、抜き差しならないところに追い込まれてしまう人達も一定数出てしまうことでしょう。定期的に、ギャンブルで会社のお金や公のお金を使い込んでしまった駄目な人達の事が報じられています。それは、ギャンブルが悪いのではなく、自分を律することができない人間が悪いのです。私は、カジノ・ギャンブル=依存症・反社会勢力、そして破産・一家離散=悪い事といったステレオタイプの反対はどうなのかなと思っています。世の中、綺麗事だけでは渡っていけませんし、清廉潔白で清く正しい、間違ったことは何もしない、まるで仙人のような人生では、面白くもなんともないと思いますよ。
和歌山の場合は、また違った問題で計画中止となりました。IR運営会社の事業計画に対して不安があって、本当にちゃんと儲けが出て、持続可能なのかという点が問題にされた為です。この点も、日本でのIR展開に反対する人達の大きな理由となっています。加えて、運営会社が外資ばかりであるため、外資が儲かるばかりではないかということを問題にする人たちもいます。私は日本のホテル業者、エンタメ業者、リゾート開発業者、そして優秀なプランナーの叡智を結集してオールジャパンで取り組めば、他国にはない、きっと素晴らしい夢のリゾートを作り上げることができると思っています。そして日の丸IRは国内のみならず世界中から来てくれるお客様に素晴らしいサービスを提供できる事を信じています。ちょっと心が病んでいて、妄想癖がある私は、こんな夢のIRを想像してしまいました。場所は和歌山がいいですね。諦めが悪く執念深い仁坂知事が、高速道路和歌山ー淡路島ラインの建設を餌に、和歌山のゴッドファザーである前与党幹事長(特に名は秘す)の全面協力を得て、紀淡海峡の無人島、友ヶ島にIRを誘致することに成功したという設定はいかがでしょうか?運営は?やはり星野リゾートにお任せしたいですね。IRのコンセプトは?1970年代の香港、九龍城はいかがでしょう。ホテル名は「Labyrinth in Kowloon]なんていかがでしょうか?「九龍の迷宮」、熱気と混沌、退廃を感じさせる、妖しい魅力を感じませんでしょうか?IRの建築、設計は安藤忠雄さんにお願いしたいですね。友ヶ島には、旧日本陸軍の砲台跡が各地に残されていて、レトロな魅力に溢れています。それを効果的に活用した洒落てシックなショップを配して、メインストリートには大道芸人やパフォーマーが様々な芸を披露してくれる、そういった光景は、ボーダーレスで無秩序な人々の賑わいに溢れている全く新しい街を想像させてくれます。グルメ・食も重要ですよね。そこは、あまから手帳で知られる門上武志さんにプロデュースをお願いしたいですね。きっとその知識と情報力とコネをフルに活かして、隠れた名店の、敏腕シェフを招聘してくれるはずです。メインシアターでのショーは、野田秀樹さんに演出をお願いしたいですね。九尾の狐をモチーフにした現代劇「Nine Taled Fox」のレギュラー公演なんて如何でしょうか?IRの目玉の一つになること間違いなしだと思います。そして、島内各地に芝居小屋を配して、千夜一夜物語をモチーフにしたお芝居の常時公演なんて、いいですねえ。問題のカジノについては、作家の浅田次郎先生に全面監修をお願いしたいですね。先生は、世界中のカジノを訪問されていて、その知識、造形は非常に深く、「カッシーノ」という紀行文も発刊されています。ルーレットのディーラーはフィンガーマンの異名を持つ凄腕で、自由自在に玉を操ることができて決してゲストを大敗させない、そしてカードゲームは絶世の美女ディーラーを配して、全てのプレイヤーをそのテクニックの虜にしてしまう、なんてことがあればいいですね。妄想は尽きることなく湧いて出てきます。私は悪い薬は飲んでいませんよ。念のため。しかし、私はお酒をやめたほうがいいのかもしれません・・・。
現在進行中のIR計画は、大阪府と長崎県のみで、いずれも様々な問題を抱えています。手続き上の問題については適切に対応していって欲しいと思います。また、ギャンブル依存性の問題についても、パチンコ屋や競馬、競輪をはじめとする公営ギャンブルを含めて、きちんとした対応を検討して欲しいと思います。ギャンブルに狂っている人は、大方は金に取り憑かれていて、一攫千金を狙っている人達や、大当たりをした時の快感が忘れられない気の毒な人達だと思うのです。しかし冷静に考えれば、ギャンブルほど割りの合わない投資はなくて、ほぼほぼ負けることになっているのです。ましてや的中の快感は、大金を賭けていなくても得られるのですから。IR、カジノは成長戦略として語られることが多く、事実そういった部分が大きいとは思いますし、その点が期待されているところだという事は理解しています。しかし私は、日本に全く新しい非日常を演出するエンターテイメントの空間が創造されて、新しい賑わいの空間になることを希望していて、そして、その場所が、世界に自慢できる、そして世界中の皆さんが羨む夢の場所になってほしいと強く願っているのです。
Shape of My Heart:ギャンブルは神聖な幾何学で、その転帰には隠れた法則がある。決して冷静さを失い己を失うことなく、自分自身を見つめながら、そんな自戒を込めて・・・。
Shape of My HeartはStingの曲で、1993年にリリースされた5枚目のソロアルバム、”Ten Summoner's Tales"の10曲目に収録されています。そして、リュック・ベンソン監督の映画、レオンのエンディングテーマ曲で有名な曲です。私も、レオンでこの曲のことを知りました。この切なくてやるせない映画の結末に流れてくる哀しい調べのこの曲は、今回のテーマである「夢のカジノ」にはそぐわないと思ったのですが、この曲の歌詞が、ギャンブルをする上での心構えを語っている様に思えて、今回取り上げてみました。冷酷で無慈悲な殺し屋であるレオンが少女との間に芽生えた愛情によって、そのマシンのようなルーティンが少しずつ狂っていく、そんなこの映画のディテールにぴったりなこの曲をエンディングテーマに選んだリュック・ベンソンは、本当に天才ですね。しかし、レオンのイメージを一度全て無にしてこの曲を聞いてみると、「冷静であれ」、「欲に目を眩ませるな」、「数字に惑わせられるな」、「自分の下した決断に自信を持って決して後悔してはいけない」、という勝負の世界の鉄則みたいなものを表現しているように私は感じました。そしてStingが歌う心の形とは、人生の勝負における、ふと湧き上がってくる心の揺らぎ、小さな迷い、そうした自分の弱さを除外できる心の強さや、自分の選択に対する確信の様に私は感じていて、この歌で、「お金に目が眩んでしまったら勝負には勝てないよ」と自分を戒めているように思えるのです。
このような駄文を最後まで読んでくださってありがとうございます。
皆様にとって明日が今日より良い日となりますように。
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