COP26閉会 世界の未来は?-TIME-
COP26が閉幕しました。相変わらずグレタさんは怒っていましたし、我が岸田総理も総選挙後に弾丸日程で駆けつけていましたね。そして全く心を打たないスピーチを行なって、そして慌ただしく帰ってきましたね。スピーチの全文を内閣官房のホームページで見ましたが、私には「まいどおおきに。わてらはほんまにやりまっせ。よおわからんけど、とにかくやりまっせ。ゼニもだしまっせ。ほんなら、よろしゅうたのんます。ごめんやっしゃ。」といっているようにしか聞こえませんでした。案の定、環境NGOの皆様たちから化石賞なるありがたい称号まで頂いてしまいましたね。
そもそもCOPとは何ぞやと申しますと、「国連気候変動枠組み締約国会議」の略で、簡単にいうと、気候変動(その結果生じる地球への不可逆的変化)の原因となっている地球温暖化を防ぐために、国連加盟国の皆様で話し合って色々なことを決めるための会議と言うことらしいですね。2015年にパリで行われたCOP21では、温暖化の主原因であるCO2の排出量を低下させて、平均気温の上昇を産業革命後から2度以内に抑えましょうということが決められました。COP26では、成果文書として「世界の気温上昇を産業革命前から1.5度以内に抑えるために努力を追求すること」となり、パリ協定より一段踏み込んだ目標設定となりました。またCO2排出の主原因といわれている石炭火力発電については、段階的な廃止という目標がインドや中国の反対により段階的な削減という一歩弱い表現となりました。
この決定を受けて、参加した日本の代表団の皆様はほっとしたことでしょうね。というのも、日本は地理的要因の為、なかなか再生可能エネルギーへの変換がうまく進んでいないという事情があります。そして原子力発電についても、世論では廃止を求められていて、全体の30%弱を占めている石炭火力発電については削減は非常に難しいという立ち位置に置かれています。このような点を背景にして、今回の会合では日本の代表団は他の大国の蔭に隠れて、成り行きをジーっと祈るように見ていたように思えます。現状では石炭や石油、ガスといった火力発電を0にすることは非常に難しくて、日本としては、原発を騙し騙し使いながら、新しい技術、イノベーションを用いてCO2の排出削減を目指すしかないのかなと思っています。実際、石炭火力発電での効率化、CO2削減の技術は世界に冠たるものですし、排出したCO2を地中に回収する技術も世界のフロントラインを走っているようです。そのようなことから、岸田首相が約束した途上国への100億ドル追加拠出についても、「何を勝手に約束してんねん!ばらまけばええっちゅうもんとちゃうぞ!」と思ってしまいます。日本は各国と足並みを揃えて600億ドルの拠出が既に決まっていて、その上での100億ドル追加拠出ですから、総理お得意のバラマキとはいえ、気前が良すぎると思いませんか。私などは、そのお金を新しい技術に投資して、世界に還元すればいいのにと思ってしまいます。岸田総理はどうも、誰にでもいい顔をしすぎですよね。ジョンソンさんやバイデンさんと何を約束したかわかったもんじゃありませんね。本当は「気候変動については日本には日本のやり方があって、新しい技術の開発に力を注いで、その結果を持って世界に貢献します。日本の立ち位置をご理解ください。」このくらい強く宣言してきてほしかったところですよね。
以前私は、気候変動と地球温暖化については冷めた視線で見ていて、排出権取引なんて大きな欺瞞だし、そもそも中国やインドといったCO2排出大国は真剣に取り組んでないではないかと思っていました。トランプも地球温暖化はまやかしだなんて叫んでいて、パリ協定からも脱退していましたし。それに再生可能エネルギーの未来についても見通せていない状況で、おまけに原発もダメと言う風潮では、この便利でありがたい暮らしを維持していくことができるのかという思いもありました。しかしながら、近年の自然災害は明らかに以前とは異なっていて、頻度も規模も以前とは比べものにならないほど大きくなってきていることが実感されます。また最近では、世界中の投資家の皆様がESG投資なるものを言い出して、環境に配慮した企業への投資を推進するといったことを言い出しています。また世界中の企業がCDPなる環境を考慮した格付けの取得に精を出しています。機関投資家や大企業の方々がこういったことをしているということは、単にそこに銭の匂いがするということだけでなく、やはり地球の環境は抜き差しならないところまで来ていて、私たちは、とてつもなく大きな滝に向かって流されているまさにその真っ最中なのかもしれないと私は感じてしまいます。しかしこの快適な生活を失いたくない、そういった相反する問題の狭間でもがいている、まさにその瞬間に私達は置かれているのではないでしょうか。そして、本当はこの問題は時が過ぎればなんとかなる、誰かがなんとかしてくれるような問題ではなく、私たち全員が真剣に考えなければならないのではないかとも感じています。
TIME 無為に過ごした時間を後悔しないように。そして残された時間を少しでも有意義にする為の努力を大切に、未来に思いを馳せて。
TIMEはプログレッシブロックの雄ピンクフロイドの8枚目のアルバム「The Dark Side of the Moon」の4曲目にフィーチャーされた曲です。このアルバムの邦題は狂気ということで、アルバム全体が現代社会の緊張と抑圧について人の心の中に潜んでいる狂気をもとに表現した、いわゆるコンセプトアルバムとなっています。私が初めてこのアルバムを聴いたのは高校生の頃で、素晴らしいアルバムだと感動しましたが、当時の私には難解すぎて、アルバムのテーマ、それぞれの曲が持つ意味や解釈はさっぱり分かりませんでした。今改めてこのアルバムを聴いて、楽曲の完成度の高さに加えて、1つ1つの曲に紡がれた言葉、その意味が今の世相とあまりにも合致していることに驚愕してしまいます。改めてRoger Watersの研ぎ澄まされた感性に尊敬の念を覚えますね。
このような駄文を最後まで読んでくださってありがとうございます。
皆様にとって明日が今日より良い日となりますように。