無法者の手札 -Desperado-

 2026年がスタートして、そろそろひと月が過ぎようとしています。みなさん、今年の新年はいかがでしたか。初詣には行きましたか?神様にどの様な願い事をしたのでしょうか。新しい年を迎えるにあたっては、みなさんそれぞれに色々と思うところがあった事と思います。私と言えば、例年通り地元の氏神様に出向いて、家族と、そして親しくしてくれている人達が健康で幸せな日々を送れる様にお願いをしました。それに加えて分不相応なのですが、世界中の人達が平和で安心して暮らせる様に、神様に祈願してきました。しかしながら、そんな私の能天気な願いをあざ笑うかの様に、正月早々から碌でもないニュースが硝煙の匂いと一緒に飛び込んできましたね。仕出かしたのは、世界の忘八(ぼうはち)野郎トランプ。場所は南米ベネズエラ。みなさん既にご存じの、“断固たる決意作戦”と銘打たれた、アメリカによるベネズエラへの侵攻です。

 この事件に関しては、第一報が報じられた後に、日本のマスコミも大々的に報じていたので、みなさんもよくご存じの事と思います。主権国家に軍隊が侵入して、国家元首夫妻を拉致して本国に連れ去るという、なんとも現実離れな、まるで映画の様な出来事ですよね。この件については、TVで好き放題に喋っている人達や、解説者、専門家の人達が様々な発言をしていましたね。曰く、「国際法を無視した暴挙である」。「国連憲章に違反する行為でけしからん」。「武力による体制転換の試みは許せない」などなど。みなさん概ね、否定的な意見を述べられていた様ですね。私も最初にこの報道を目にした時には、「なんちゅう事をやりよるんじゃ、このジジイは!」とビックリ仰天したのですが、正直な所、心の中では、「成程、こういうやり方でやったんだ」といった、感心と納得が入り混じって、目から鱗が落ちた様な気持ちになったのも事実です。というのも以前から、この国が沢山の問題を抱えていて、マディラ大統領の政権下で多くの国民が、極端なインフレと独裁的な国家運営に苦しんでいたという報道を見ていたからです。そしてその為に、沢山の人が国外に逃げ出して難民になってしまっていて、国際的な問題になっていたのも有名な事実です。この国で民主化運動を率いていた野党指導者のマチャドさんが昨年のノーベル平和賞を受賞したのは、みなさんもご存じですよね。彼女は、世界に向けてこの国の窮状を訴えていましたよね。加えて、昨年来、CNNなどから流れてくる報道を俯瞰していたら、アメリカがベネズエラに対して何らかの強硬的なアクションを起こすのは避けられないだろうというアラームが何回も点灯していましたね。そういった訳で、ベネズエラで近々に何らかの軍事作戦があるのではないかという観測は、多くの人が持っていたようです。私も、もしベネズエラで大規模な地上戦になったら、沢山の犠牲者が出てしまって大変な事になるのではないかという、不吉な予感を持っていました。しかし、そんな私の心配を他所に、今回行われたのは特殊部隊による奇襲で大統領夫妻をさらってくるという、荒唐無稽ではありますが、驚くほどスマートで洗練された作戦でした。死者が100名前後出ていると発表されていたので、「なにがスマートじゃ!寝ぼけたことをぬかすな!」と平和活動家の人からは怒られるかもしれませんね。しかしながら、もし地上戦が展開されれば、比べ物にならない程の犠牲者がでるのは必至ですよね。そういった訳で、トランプが仕出かしたのは、けしからんし許せん事だとは思いますが、その是非については私には判断する事が出来ません。唯々民間人の被害者が最小限に抑えられてよかったと思っていて、今後ベネズエラの人達の暮らしが良くなる事を願っているだけなのです。

 トランプ大統領は以前から、南米における反米勢力の最先鋒であったベネズエラに対して敵認定をしていて、マデュロ政権を口汚く批判していました。ベネズエラからの麻薬流入を政治問題に仕立てて、昨年秋には、軍事介入も辞さないという発言をSNSに投稿していました。実際に、カリブ海を航行する麻薬密売船の疑いがある船舶にミサイルをぶっ放して爆破している映像が発表されていましたよね。11月には、空母打撃軍をカリブ海に展開して、「ホンマにやるで!」と脅しをかけていました。アメリカの本気度は、昨年12月に発表された“国家安全保障戦略”からもうかがい知ることができます。この文書は、アメリカの安保政策の今後を示している重要なステートメントですが、そこには、西半球におけるアメリカの優位性を回復させると記載されているのだそうです。つまり、アメリカが勝手に裏庭と決めつけている中南米のエリアで反米の旗を立てている国や、そこでの勢力を拡大すべく触手を伸ばしているパンダの国や狂犬プ印の国に対して、「わしのシマで勝手な事をやりくさったら許さへんで!」と啖呵を切っているのですね。そして、こうやって実力行使をすることで、コロンビアやブラジル、ペルーなど反米に傾いている国々に、「わしに歯向かったらこんな目にあわされるんやで!」と恫喝しているのですね。

 今回のあからさまな侵略行為に対しては、世界中のマスメディアでも、国際法に対する違反で国連憲章に抵触しているという批判であふれています。しかし、相手は世界最強の軍隊に命令できる、恐ろしい権力者なので、誰が何を言っても無駄だという無情な気持ちになってしまいますよね。本来はアメリカに対して意見をしなければならない立場である筈の同盟国の指導者達も、此奴がつむじを曲げたら何を仕出かすかわからないので、まるで腫れ物に触るかの様な発言に終始しています。我がサナエ総理も、いつもの威勢良さは影を潜めて、意味のない無難な発言に終始していて、なんだかがっかりしてしまいますよね。ウクライナ戦争やイスラエルによるガザの破壊、そして、今回のベネズエラ侵攻を目の当たりにすると、そしてそれに手をこまねいている国際社会を見ていると、私達が暮らしているこの世界は、秩序や共存なんてものは糞喰らえで、力の論理がまかり通ってしまうジャングルの様な場所になり果ててしまったと、今更ながらに実感してしまいますね。そんな弱肉強食の無法地帯では、みなさんが何かにつけて持ち出してくる国際法についても、きちんと機能しているとは到底思えませんね。そんなものを後生大事にしていても、それが無力であることは、ウクライナやパレスチナの状況を見ていても明らかですよね。

 アメリカの高名な調査会社であるユーラシアグループは、例年年が明けてすぐに、世界における今年の10大リスクを公表しています。昨年は第一のリスクとして、世界の秩序を維持していく為のリーダーがいない事をあげていましたね。更に第二のリスクで、トランプさんがアメリカの大統領に返り咲く事で、品性下劣な人物が強大な力を手に入れてしまう事になって、その為に世界にもたらされるであろう混乱を予想していましたね。事実みなさんご承知の通り、昨年は、世界中がお下劣トランプに振り回された一年になりましたよね。ユーラシアグループは、今年の10大リスクについても先日公表しています。そこで最初に記載されているリスクは、ズバリ、「US Political Revolution」、「アメリカの政治革命」と銘打たれています。政治革命とはなんぞや?と申しますと、トランプ大統領が、アメリカの行政府を私物化する為に、大統領が持つ強大な力を行使して、意見が異なる、あるいは自分が気に入らない組織や人物を排除して、イエスマンで固めた連邦政府で好き放題にアメリカを動かしていくという事を意味している様ですね。昨年トランプがイーロン‣マスクのボクちゃんに命じて立ち上げた政府効率化省(DOGE)は、連邦政府機関の再編とリストラを容赦なく行って、その為にアメリカの行政府に計り知れないほどの混乱と痛手を与えてしまいましたよね。加えて、トランプが行っているFBIや司法省への人事介入に代表される捜査機関や司法への介入は、アメリカの“法の支配”を危うくするもので、このままでは権力へのチェックや抑制が効かない独裁国家になってしまうと危惧されています。ベネズエラへの侵攻についても、連邦議会の承認を得ることなく実行された為に、国際法のみならず、米国国内法にも抵触している可能性が問題視されています。しかし当のトランプジジイはどこ吹く風で、「俺様は国際法なんかじゃ止められないぜ。俺様を止めることが出来るのは、己の道徳心だけなんだぜい!(意訳)」と嘯いています。「道徳心なんて高尚なものは小指の先ほども持ち合わせていない便所虫のくせに何を言ってやがる!」とムカついているのは私だけではないと思います。しかし、便所虫のくせに持っている力は強大で、その後も、グリーンランドや国際機関からの脱退など、年始早々から暴れまわってますよね。

 アメリカ合衆国大統領が強大な権力を持っている事は、アホな私でも何となくは理解しています。しかしこんなに好き放題やりたい放題に暴れられたら、さすがに「誰かアイツを止めてくれい!」と思っちゃいますよね。高校生の頃に習った世界史では、三権分立を初めて成文憲法として採用したのはアメリカの憲法だと教えられましたよね。しかしながら、この悪党にとって三権分立なんてモノは糞くらえで、そんなお題目には目もくれずに、ひたすら自分の為だけに権力を行使していて、伝家の宝刀とばかりに大統領令を出しまくっていやがりますよね。過去にはウォーター‣ゲート事件でニクソン大統領が辞任に追い込まれた例もある通り、大統領を罷免する力を連邦議会は持っています。しかしながら、現在は上院、下院ともに共和党が牛耳っていて、弾劾を起こす素振りは全くありません。本年11月に行われる中間選挙で共和党が大敗すれば、大統領弾劾の動議が出されるかもしれませんが、民主党の根性なしにそんな事が果たしてできるでしょうか。あまり期待は持てないですね。モンテスキューもワシントンもこんな有様を目にしたら、草葉の陰で「すまんの~、こんなつもりじゃなかったんじゃ~(©横山たかし師匠)」と赤いハンカチを噛んでむせび泣いている事でしょうね。

 合衆国憲法の中で、大統領が持っている権力については、今日まで様々な解釈が行われてきたようですね。単一執行府理論はその解釈の一つで、トランプ野郎が好き勝手に出している大統領令は、この解釈が拠り所になっているそうです。何だか大層な名称で、名前を聞いただけで気を失ってしまいそうになりますが、言わんとしている事は単純で、大統領こそが行政の唯一の統括者であり、独立機関を含む全行政官僚の活動を監督する事が出来るという事を意味しているそうです。この考え方は、合衆国憲法第2条に「合衆国の行政権は大統領に付与される」という一文があることから浮かび上がってきたのだそうです。「これじゃあアメリカ大統領はやりたい放題の独裁者じゃないかよ!」と思ってしまいますが、しかし、さすがに歴代大統領は、この権力をこれほどまでに露骨に使う事はなかった様ですね。卑しくもアメリカ合衆国大統領に選ばれるような人物は、物の道理をわきまえた、それなりに高潔な人物であったという事なのでしょうか。憲法の草案を書いたマディソンとハミルトンも、糞溜の底から這い出てきた様な人間性の人物が、まさか選挙で選ばれるとは思いもしなかったのでしょうね。

 アメリカは、これまでも何かと問題がある国ではありましたが、私は一応この国を信用していました。この国が大切にしてきたもの、自由で開かれた社会、平等で多様な文化、そういったもの全てを受け入れてくれる包容力など、この国が育ててきた価値観を今までは感じる事が出来て、それを好ましく感じていたからです。しかし近年のこの国の在り様を見ていると、KKK(白頭巾をかぶった、恐ろしい差別主義者集団です)が跳梁跋扈していた、人種差別全開の時代に先祖返りしてしまった様に感じてしまいます。今年に入って、ICE(米国移民関税執行局)のゴロツキが不法移民取り締まりに反対するデモに参加していた女性を射殺するという事件が報じられました。ミネアポリスで起きたこの出来事は、アメリカが現在冒されている疾病を端的に表した事案だと思いますね。こんな”ひとでなし”が、トランプ野郎の飼い犬という理由だけでブタ箱にぶち込まれない社会は、どう考えても狂っているとしか思えませんね。トランプが大統領に就任して以来、この国を蝕んできた社会の分断は、どんどん温度が上がってきて、いつ沸点を超えてもおかしくない様に思えます。それは国内に留まらずに、国際関係においても同様で、この国の今の振る舞いを好意的に受け止めている国なんてこの世に存在しないと思いますね。

 日本にとっても現在のアメリカは、今や頼りになる兄貴分ではなくなったと私は感じています。もう能天気に「価値観を共にした強固な同盟関係」なんて事を言ってられない様な気がします。確かにアメリカと同盟関係でいる事は、我が国の安全保障上欠くことが出来ない必須条件ですが、現在の政権に対して、今までの様な距離感で安全保障を委ねているのはとても危険だと私は思っています。何せこの卑劣漢の大統領任期は、まだあと2年以上残っているのです。このクソ野郎に誠実さや信義といった高尚なものを求めるのは酷な話で、こいつの気分次第でいつ梯子を外されるかわかったもんじゃないですよね。日本のリーダーには、是非そのあたりを頭に入れて外交に臨んで欲しいものですね。アメリカにべったりへばりついて、全てを委ねるような外交はちょっと考え直して、国際社会全体を俯瞰しながら全方位にきちんと目配りをして、手練手管を巧みに操る外交を行って欲しいと願っています。今は疎遠になっているパンダの国のきんぴら主席とも、きちんと関係改善をして欲しいものですよね。そうでなければ、今の日本の立場では、安全保障はアメリカ一本足打法で突き進まざるを得ないと思います。こんな倫理観がない、性根が腐った政権に我が国の安全保障を委ねるなんて、悪夢としか言い様がないですよね。しかし、アメリカにとっても日本は地政学的に大切な地域で、失う事が絶対にできないChoke pointである筈です。であるならば、もしパンダの国との関係が回復できたら、アメリカに絶対的に服従するのではなく、様々な駆け引きが出来るはずだと私は考えていて、その様な事を念頭に置きながら日本のリーダーには外交の舵取りを行って欲しいと私は願っているのです。

 こんな駄文を書いていたら、保守の恐ろしいおやじ連中から、「何を夢みたいな事を言ってやがるんだ、この親中派野郎が!」だの、「世迷いごとを言うんじゃねーよ、この偽善者が!」と唾をとばしながら罵られて、竹刀でメッタ打ちにされそうですね。おっしゃる通りわたくしは、きれいごとばかり言っている理想主義者で薄っぺらい平和主義者だと自分でも自覚しています。現実はなかなかに厳しくて、リアリストの方々がおっしゃられている通り、日本の平和と安全を守る為には、アメリカとの関係をより強固にしていくのがベストなのかもしれません。しかしそれはある意味で、あの暴走機関車と一蓮托生になってしまうという事につながってしまいますよね。現実を直視したならばそれも致し方ないのかもしれませんが、とにかく私はトランプが嫌いなのです。こんな自分勝手で冷酷で、倫理観の欠片すら持っていない便所虫が、アメリカの大統領だという事をひたすら嘆いているだけなのです。唯々、無茶苦茶になりつつあるこの世界の中で、何とか国際社会全体がウィン‣ウィンの関係でいられる様に日本が立ち回って欲しいと思っているだけなのです。私は、今日も速報で報じられてくるトランプがやらかす下品な報道を耳にしながら、「なんにしても、嫌な世の中になってしまったなあ」とため息をついてしまいました。そしてそんな気分を吹き飛ばす為に、今日のお昼ご飯は、王将の餃子定食で元気をださなくちゃと考えているのでした。

Desperado:今やならず者になってしまった友人に、昔のお前に戻ってくれよという思いを込めて…。

Desperadoは、Eaglesが1973年にリリースした同名のアルバムに収録されているタイトル曲です。邦名はそのままズバリ“ならず者”。この曲は、シングルカットはされていませんが、多くのアーティストにカバーされている、彼らの代表曲の一つです。このアルバムは、西部開拓時代に暴れまわっていたアウトローのギャング、Doolin-Dalton一味について書かれたコンセプト‣アルバムになっています。ビル‣ドゥーリンとビル‣ダルトンという2人の首領に率いられたこの強盗団は、法律なんてお構いなしで、悪事の限りを尽くしていた様ですね。そんなデスペラードに、この曲では、「自分自身を振り返ってみなよ」と声をかけています。そして、「お前はいつもポーカーで、ダイヤのクイーン(つまり一画千金を夢見た荒んだ暮らし)ばかり集めているけど、ハートのクイーン(つまり優しくて平和な生活)の方がお前にゃお似合いだぜ」と語りかけています。更にエンディングでは、「誰かに好きになってもらいなよ」つまり、「他人から愛される人間に生まれ変わりなよ」と説き聞かせています。その様なこの曲のLyricは、私が今アメリカという国に対して感じている感情がそのまま歌われている様で、心にストレートに響いてきました。世界でも指折りの悪党トランプが、今更真人間になるとは到底思えませんが、アメリカという国が持っているであろうレジリエンスには期待したいですね。アメリカの刑法は、連邦と州の二重司法になっていて、法学の世界では何かと問題になっている様ですが、ここは連邦法でも州法でもどちらでもいいので、コイツが数限りなくやらかしているだろう悪事の数々を世間にさらけ出して、ブタ箱で臭い飯を食わせて欲しいものですよね。そして、間違いばかりやらかしているけれど、基本的には正義を重んじていて、自由な空気と寛容で全てを受け入れてくれる懐の深さを持っている、私が好きだったアメリカが帰ってくるのを期待したいですね。新しい年を迎えたというのに、インケツな顰蹙者の事ばかり考えていたら、気分が落ち込んでしまいました。私ごときがあれこれ考えて落ち込んでいても、世の中何も変わらないのは重々理解しています。それでも、「思考停止で何も考えずに暮らしているよりも、あれこれと考えて思い悩んでいる方が100倍マシだよね」と呟いて、今日はストレス解消の為に、久しぶりに一人カラオケに出かけて、長渕兄貴の歌を熱唱しようと考えているのでした。

このような駄文を最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

みなさんにとって明日が今日よりいい日になりますように。

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