神々の埋葬 -Bohemian Rhapsody-
テロリストがぶっ放した2発の銃声が、どうやらパンドラの箱を開いてしまった様ですね。最近の旧統一教会絡みの騒動は連日の馬鹿騒ぎで、少々胸焼け気味です。確かに、かつて大問題になったカルト教団と政治との密接な関わりは、世間の耳目を集めるに足る大問題だとは思います。しかし重箱の隅をほじくるようなほんの些細な事まで鬼の首を取ったように大騒ぎをするのは、なんだかうんざりしてしまいます。毎度の事で大変恐縮なのですが、私はこんな光景を想像しましまいました。
白井前大臣:「おいこら、カス松!お前がどこにでも見境なく祝電を出すもんだから会見でマスコミからつっこまれたじゃあねえか!俺に恥を欠かせんなよ。」笠松第一秘書:「(カサマツだよ、ふざけんな・・)申し訳ございませんでした。祝電はどこにでも出すようにという先生からのご指示でしたので。」前大臣:「馬鹿野郎!人の言う事を全部真に受けるんじゃあねえよ。お前、何年この商売してるんだ。おかげで念願の大臣の座も、あっという間にクビになっちまったじゃねえか。どうしてくれるんだよ。カス松!」第一秘書:「(カサマツだよ、お前パワハラだぞ!)しかし先生が会見で、頼まれればどんなところにも私は祝電を出しますよなんて余計な事を言ったから、世間から反発を受けたのではないですか?」前大臣:「なんだとう?もういっぺん言ってみろ!お前なんかクビだ馘。You're fired!だ!」第一秘書:「(言われなくてもこっちから辞めてやるよ)わかりました。そういう事でしたら、今すぐ辞めさせていただきます。」前大臣:「え?本当に辞めちゃうの?嫌だなあ、冗談だよ、冗談。It's just a joke.だよ。本気にするなよ、全くもう。君に辞められたら困るんだよ、笠松ちゃん。そうだ、今夜銀座に寿司でもつまみに行こうか?」第一秘書:「(気持ち悪いなあ。なんだよこの親父は。)いえ。私には私なりの考えがありますので。辞表は後日郵送いたします。」
登場人物も会話の中身も全て私の妄想です。ですが、なんだかありそうな光景ですよね。兎にも角にも、政治家が名前を貸して、それが問題集団の信用を高めたり勧誘に利用されたりする事は問題だと思いますが、それが法律で許されている範囲内であれば、「目を吊り上げて大騒ぎをするのはどうだかなあ」という気もしています。もちろん確信犯は別ですよ。マザームーンのヒトとか、都合の悪い事は全て忘れてしまう健忘症のあの大臣はダメですよね。このヒト達は、小狡くてそして嘘つきという、政治家どころかそもそも人間としてどうかという種類の人種なので、即刻国会議員を辞めてほしいですね。先程の寸劇ではありませんが、岸田総理がこいつらに、「お前はクビだ馘。You're fired!だ!」と言い放ってくれたなら、少しは岸田さんのことを見直そうと思います。それにしても、今回びっくりしたのは、以前大問題になっていた統一教会が、名前を変えて存続していて、政治の世界にこんなに食い込んでいた事です。
かつて、今から30年以上前の事ですが、今と同じ様に新興宗教の話題がマスコミを賑わせていました。当時話題の中心となっていたのは、統一教会の他に、幸福の科学やオウム真理教でした。マスコミは、これらの団体が騒動をおこす度に、撒き餌に群がる餌取りの小魚の様に、その話題に群がっていたものでした。特に社会問題となってマスコミが大々的なキャンペーンを張って扱っていたのは、霊感商法と合同結婚式で騒がれていた統一教会と、そしてあの恐ろしいオウム真理教でした。オウム真理教は、当初は、教祖の太った汚らしい男が半裸で座禅を組んでぴょんぴょん飛び跳ねて空中浮遊と称していたり、若い怪しげな男女を集めて「修行だ、修行だ」などと叫んでいる、単なる不潔で不気味で薄気味わるい集団と思われていました。しかし、その実態は恐怖の殺人集団でしたね。世田谷弁護士一家殺害事件という凄惨な殺人行為や、地下鉄サリン事件という冷酷なテロ行為に至るまで、この連中が行ってきた罰当たりな悪行は、まさに地獄に落ちるような行いであったと思います。結局このテロ集団は、長野県上九一色村のサティアンと呼ばれる教団本部が機動隊の手入れにあって、教祖の髭面不潔肥満男が逮捕されて、その後解散となりましたね。オウム真理教は、あまりにも残虐で凄惨なテロ行為をしでかしたので、いまだに人々の話題に登場します。しかし統一教会については、撒き餌の餌がなくなるとどこかに行ってしまう餌取りの小魚の様に、別の騒動が起きるとマスコミの関心はその撒き餌に群がって行ってしまって、いつしか世間もマスコミもその存在を忘れてしまっていましたね。
信じるものは救われるとよく言われますが、何故人間は、神を信じてしまうのでしょうか。そして、神の教えを説く人である教祖様とは一体何者なのでしょうか?どうやって彼らは神様からの啓示を授けられたのでしょうか?そして、教祖様からの御託宣であれば、それがたとえ一家離散になる様な事でも、そして極端な例では人殺しの指示だとしても、盲目的に従ってしまうのは何故なのでしょうか?私にはさっぱり分かりませんし、理解できる能力も持っていません。なのでそういった小難しい事は、専門家と呼ばれる学者様やジャーナリスト様、そういった皆様にお願いしたいと思います。(もちろんエイトさんもお忘れなく)しかし、私は、今回の世界平和統一家族連合の一連の騒動の行方については注目をしています。政治は果たしてこの集団と手切れができるのか?信教の自由や政教分離との関係は?宗教法人への課税や収支報告の義務化は?そういった事柄が果たしてどのように話し合われて、そしてどの様な決着をするのかを、今後注視していきたいと考えています。
日本の宗教法人の数は約18万あるのだそうです。神社仏閣は日本中至る所にありますし、新興宗教も大小様々な団体が存在している様です。高校野球を見ていたらよく分かりますよね。今は廃れてしまいましたが、かつてのKKコンビの出身校や、教団の名前が市の名前になっている紫色のスクールカラーの高校などがよく知られていますよね。他にも仏教系やキリスト教系の学校を含めたら驚くほど沢山の高校が甲子園に出場していて、今年は数えてみたら10校ありました。いかに宗教と我々の生活が近いところにあるかという事を示す良い例だと思いますね。私達は大抵の場合何らかの宗教と関係を持っていて、その人なりの信仰心を持って神様や仏様と相対しているのだと私は思っています。そしてほとんどの人が、自分が信じている神様や仏様に恥ずかしくないように、毎日を一生懸命に生きているのだと思いたいですね。
私は、自分自身の信仰心はあまり強い方ではない事を自覚しています。実家は浄土真宗ですが、私自身は決まった宗教を信仰しているわけでもありません。こんな私でも、散歩の時には、地元の神社で家族の健康を神様にお願いをしています。失敗できない大きな仕事の前などには、正殿だけではなく、周りに複数ある全部のお社にお賽銭を投じて、成功を祈願したりしてしまいます。競馬のG1前には、ちょっと不謹慎ですが大儲けをお祈りしたりもしてしまいます。地元の神様は、不埒な祈願は決して叶えてくれず、競馬はさっぱり的中しませんが、私はそれなりに正しい人生を送ろうと努力しているつもりなので、家族の健康と決して失敗できない仕事については、お願いをきちんと叶えてくれています。なので私はこんな風に考えています。神様は、一種懸命に頑張っている事についてはそれなりに考えてくれていて、そっと後押しをしてくれる事もたまにはあるけれど、その代わりにさっぱり努力していない事や不謹慎な願い事は、決して叶えてはくれないのだと。
Bohemian Rhapsody:孤独な放浪者が巻き起こした殺人は、日本中を狂騒の坩堝と化してしまった。この大騒ぎは、これから一体どうなるのだろうか・・・。
Bohemian Rhapsodyは1975年に発売されたQueenの4枚目のアルバム、A Night At The Opela(邦題はオペラ座の夜)に収録された曲です。4年前に公開された同名の映画は大ヒットとなりましたよね。この曲が発表されたのは私が中学生の時で、評論家の渋谷陽一さんが大絶賛していた事を憶えています。世間でも大評判の曲で、連日ラジオやFMでこの曲が流れていました。私は、今回の事件でこのテロリストの背景が段々わかってきた時に、真っ先にこの曲の事が思い浮かびました。人殺しをしてしまった貧しい少年が母に赦しを乞うというこの曲のプロローグが、全財産を宗教に注ぎ込んで、家庭を崩壊させてしまった母親に対するこの人物の歪な感情と繋がるようで、どうにも複雑な心境になってしまったのです。そして後半のパートで本物のオペラの様に、「許してやれよ」「だめだ、お前は決して許さない」なんて事をバックコーラスが歌っているのがこの男のこれからを語っているようで、何だか気が滅入ってしまいました。タイトルの「神々の埋葬」は山田正紀さんの小説から拝借させていただきました。山田正紀さんは、私が大学生の時に大好きな作家だったのです。当時非常に高く評価されていた若手SF作家で、数多くの優れた作品を発表されていました。中でもこの作品と「神狩り」「弥勒戦争」の3作は、神シリーズと呼ばれていて特に有名でしたね。これらの作品群では一貫して、神は人間に敵対する存在として描かれています。今回の事件でこのテロリストは、自分をこんな風にしてしまったインチキな宗教を激しく憎んでいたのだと思います。そしてイカサマ教団が堂々と存在して、ペテン師達が不遜にも神様について語っている事が許せなかったのだと思います。ついには、彼にとって神は敵だと思い込んでしまったのではないかと私は感じています。そんな事を考えていたら、昔読んだ山田正紀さんのこれらの作品の事を思い出してしまいました。
このような駄文を最後まで読んでくださってありがとうございます。
皆様にとって明日が今日より良い日となりますように。
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